朝から驚きのニュースです。
東京・銀座の中央区泰明小学校(和田利次校長)が、イタリアの高級ブランド『アルマーニ』の「標準服」を今春の新1年生から導入することが分かった。一式で4万円を超え、現行の2倍以上。保護者からは困惑の声も上がっている。
朝日新聞2018年2月9日(金)朝刊より
えっ?アルマーニ?
朝からちらりと開いた朝刊の見出しに、思わず見入ってしまいましたよ。
これ、私立の小学校なら「へーそうなんだ~やっぱ私立は違うね!」で済んだ話だと思うんだけど、公立の小学校だから驚きです。
まぁ公立とはいえ、銀座の小学校だから土地柄というのもあるんでしょうか?
特認校
調べてみると、話題になっている泰明小学校は「特認校」にあたるそう。
小学校特認校制度
中央区では、通学区域により住所に基づいて就学校を指定しています。
特認校制度とは、この通学区域を前提としながらも、施設に余裕のある学校を「特認校」として指定し、その特認校には通学区域に関係なく、希望により就学できる制度です。平成30年度は4校を指定しています。(全16校から自由に選択できるものではありません。)
出典 中央区HPより
中央区の特認校は、「泰明小学校」以外に、「城東小学校」「常磐小学校」「坂本小学校」と合計4校が指定されています。
特認校の特色は?
では実際に特認校ってどんな特色があるのかというと、中央区議会委員 青木かのさんのブログに、各校の特色が載せられていましたので、引用させていただきます。
○城東小学校
平成26年度から中央区の理数教育パイロット校として、より先進的・発展的な学習にも取り組み、児童の科学的思考力・表現力の育成を目指した実践にも取り組んでいます。
○常盤小学校
平成26年度から、中央区の国際教育パイロット校として日本の文化・伝統教育と英語教育に力をいれています。特に英語の授業は充実しており、年間1~2年生は46時間、3~6年生は70時間があてられます。
○泰明小学校
これまでもマラソンの増田明美選手等、オリンピアンを招いて特別授業を開催するなど、スポーツ教育を推進していますが、今年度は、東京都のオリンピック教育推進校に指定されています。
○阪本小学校
日本を代表する証券街、兜町が学区域であることを最大限に生かし、経済の流れを実体験を通して理解し、豊かな学びの場としています。また、多くの企業や学習サポーターの力を活用したキャリア教育に活用しています。
出典 青木かの 月島日記「中央区の特認校における個性的な教育とは?」より
各校、理数教育、国際教育、スポーツ教育、キャリア教育とまるで私立のような特色なる教育をされているようです。
今回話題の「泰明小学校」はスポーツ教育を推進し、平成27年度には東京都のオリンピック推進校に指定されていました。
「泰明小学校」は中央区の公立小学校とはいえ、「特認校」に指定されており、単純に公立小学校と捉えるのは早計かもしれません。
どうやって入学するの?
これだけ特色ある教育を推進している「特認校」、スポーツや教育に熱心な親御さんなら、子供を通わせたいと思いますよね。
ではどうやって「特認校」に入学することが出来るのでしょうか?
「特認校」には受験はありません。下記の流れで申請することになります。
申請の流れ
1.学校の情報収集
学校案内やホームページ等で学校概要、学校公開日や説明会日程を確認する。
↓
2.希望校の学校説明会へ参加
説明会に参加し、説明を受け、申請に必要な『説明会参加済証』をもらう。
↓
3.特認校制度の申請手続
「特認校就学申請書」と『説明会参加済証』を添付し、受付期間内に申請する。
えっ!これだけ?
希望する特認校の説明会に参加し、「説明会参加済証」を取得し、「特認校就学申請書」と共に提出する。
たったこれだけで、申請が完了するのです。
そして結果発表になるようですが、受け入れ上限を超えた場合は「抽選」になるとのこと。
私立のような教育を公立学校で受けられて、しかも入学に必要なのは説明会参加で受験の必要がないとは、とても魅力的な制度ですね。
今回の騒動の原因は?
特認校に指定されている「泰明小学校」。
特に「スポーツ教育」を推進し、マラソンの増田明美選手等を招いた特別授業を開催するなど特色ある教育理念に賛同した家庭は、学区外から子供を通わせられるというは魅力的です。
しかし、元から「泰明小学校」の通学区内に住んでいて、そのまま入学したという家庭も多数あるということ。
つまり、教育理念に賛同して全員が受験して入学する私立と違って、すべての保護者が「泰明小学校」の教育理念に賛同している訳ではないと考えられます。
今回のアルマーニ監修の制服(標準服)を導入について校長はこう説明します。
「時代の変化を体感させつつ、泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環」
「泰明小学校の新しい時代に向けた変化であり、進化でもある」
「『服育』という考えに基づき、装うものからも学びの機会を得てもらいたい」
特認校に指定されている「泰明小学校」の教育理念からは、『服育』との考えも納得できますが、校長がほぼ独断で決めたという今回の経緯からも、少し勇み足だったと言わざるを得ないように思います。
また「泰明小学校」の教育理念に賛同して学区外から通学させている保護者の中でも、私立ではなく、公立であることに魅力を感じている方も多いはず。
そういう方にとって、私立並みの価格の制服(標準服)を、いくら『服育』のためとはいえ、校長の独断で導入されては、教育理念には賛同していてもたまったもんではないかもしれませんね。
しかも、通常の倍以上もする割には、「やっぱりアルマーニってすごいね」「かっこいいね!」と言えるようなデザインでないところにも、今回の騒動の原因が感じられるのは私だけでしょうか?
まぁアルマーニらしく、シンプルではあるけれど…
|